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プロテオーム国際標準レポジトリの開発(奥田修二郎テニュアトラック准教授)

2016年04月01日テニュアトラック事業研究成果

プロテオーム国際標準レポジトリの開発 (奥田修二郎 テニュアトラック准教授)

【概要】

 質量分析に基づいたプロテオミクス分野が近年めざましく進展している。その結果、様々なプロテオームのデータセットが大量に生成されつつある。通常、これらのデータセットはリポジトリに登録され、そのアクセッション番号が論文などで引用される。このプロテオームデータに対するリポジトリは、欧米のグループが中心に立ち上げたProteomeXchnageコンソーシアム(PXC)の下で整備が進められてきたため、日本を含むアジア諸国からはデータ登録の際の転送速度などで問題が多かった。そういった問題を解決するため、ライフサイエンス統合データベースの枠組みの中で2015年よりjPOST(Japan ProteOme STandard)プロジェクトが立ち上げられ、リポジトリの開発が進められている。その結果、jPOSTリポジトリ(https://repository.jpostdb.org/)は、2016年5月に公開され、現在すでに100を超えるプロジェクトが登録されている。本リポジトリの主な特徴として、(1)実験プロトコルに即した入力インターフェイス、(2)高速データアップロードシステム、(3)柔軟なファイル管理システム、などが挙げられる。また、jPOSTはPXCの正式メンバーになっていることから、データ登録ユーザーは自身のプロジェクトに対して現在プロテオーム分野では標準であるPXCのIDを紐付けることが可能である。 
本研究成果は国際科学雑誌「Nucleic Acids Research」誌(2016年11月28日)に掲載されました。

【用語解説】

  • jPOST

Japan ProteOme Standard Repository/Databaseの略。2015年度から科学技術振興機構の支援のもと、6つの研究機関を中心にオールジャパン体制で開発を行っています。プロテオーム測定生データを収集するリポジトリの提供、データの再解析、再解析データのデータベース化を行っています。

  • プロテオーム

生体中に存在する各種タンパク質のすべて。タンパク質(protein)に「総体」を意味する接尾語(-ome)を組み合わせて、プロテオーム(proteome)と呼ばれるようになりました。

  • リポジトリ

データの一元的な貯蔵庫のこと。レポジトリと表記される場合もあります。

  • ProteomeXchangeコンソーシアム、PXC

2012年に英国の欧州バイオインフォマティクス研究所(EBI)および米国のシステム生物学研究所(ISB)の研究者が中心となり、プロテオームデータのリポジトリシステム連合体を組織しました。現在、PXC加盟リポジトリは、jPOSTを含めてEBIが運営するPRIDE、ISBが運営するPASSELならびにカリフォルニア州立大学サンディエゴ校(UCSD)が運営するMassIVEの4つが存在します。

【お問い合わせ先】

新潟大学大学院医歯学総合研究科バイオインフォーマティクス分野
テニュア・トラック准教授 奥田修二郎
E-mail:okd [at] med.niigata-u.ac.jp
TEL/FAX:025-227-0390/0393