2015年04月01日テニュアトラック事業研究成果
毛髪特異的なCreマウスの作製(下村裕准教授)
【研究期間】
平成27-29年度
【採択プログラム名】
科学研究費基金
【交付予定額】
280万円
【採択領域】
挑戦的萌芽研究(皮膚科学)
【概要】
多くの謎に包まれている毛髪の分化機構を明らかにするための手法の1つとして、毛髪に発現するさまざまな遺伝子のノックアウトマウスの作製および解析が挙げられる。しかしながら、それらの遺伝子の多くが表皮や他臓器にも発現しているため、重篤な毛髪外症状を呈するという問題がある。本研究では、毛髪に特異的に発現する毛ケラチン35(Krt35)遺伝子のプロモーターの調節下にCreリコンビナーゼを発現するトランスジェニックマウス(K35-Cre)を作製することを目的とする。現在までに、毛髪特異的なCreマウスは存在しない。K35-Creマウスの作成に成功した場合、既に存在している標的遺伝子のconditional alleleを持つマウスと交配させることにより、様々な遺伝子を毛髪のみでknockoutさせることができる。これらのマウスは致死的ではなく、生後長くにわたって毛髪の動態を観察できるため、毛髪の分化機構の更なる解明につながる新知見が得られると予想される。また、Krt35プロモーターを利用することにより、将来的には毛髪特異的に標的遺伝子を過剰発現させるトランスジェニックマウスなどの作成も可能になる。さらに、これまでに存在している皮膚特異的なプロモーター(K5, K14, K15, Involucrinなど)と並び、今後、世界の研究者に広く使用されるようになる発展性がある。