血液組織関門の分子病態学(2010.10.1~2016.9.30)

2016年09月30日超域学術院プロジェクト

各組織の小血管は、組織と血液の間における選択性を持った物質輸送に関与しており、「関門」として機能している。その異常は種々の疾患の病態に関わる。本申請はこれらの関門機構の分子基盤を解明し、組織による関門機能を明らかとし「血液組織関門研究」という新しい学問領域を開拓する。脳研究グループは、劣性遺伝形式をとる遺伝性脳小血管病 に注目しTGF-βファミリーシグナルの亢進が脳小血管機能を乱すその機序を明らかとすることを目的とする。また、腎研究グループは、腎糸球体におけるバリア機能をもつ毛細血管壁、特にその機能の主体となる糸球体上皮細胞の足突起間のスリット膜と呼ばれる細胞間接着装置の機能を明らかとする。これらの血管組織関門が、細胞外からの環境刺激に応じてその機能を制御する機構、構成細胞間でのサイトカインシグナルのクロストークを明らかにし、血液組織関門の機能不全により引き起こされる疾患の分子病態を解明し、新たな治療法の創出を目指す。