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太陽集熱の燃料化技術開発に関する国際的根拠形成(2011.4.1~2017.3.31)

2017年03月31日超域学術院プロジェクト

太陽光を反射鏡で集光して得られる800~1400℃の太陽熱をエネルギー源として、水素、メタノール、ディ―ゼル燃料、ガソリン等のソーラー燃料を製造する技術開発を行い、国内及び世界の研究開発拠点となることを目指す。自然科学系(工学部)の児玉研究グループが開発した、太陽集熱による水分解水素製造装置(ソーラー水熱分解反応器)は、米国・豪州の特許を取得し、現在、新潟大学の世界最大級の太陽集光シミュレータ(写真1)と宮崎大学に設置した100kW太陽集光システム(写真2)によって、その開発を行っている。反応性セラミックを使った2段階反応からなるサイクル反応で水蒸気を酸素と水素に分解するソーラー反応器開発である。このソーラー反応器は、反応表面積の大きい微粒子セラミックを反応体として利用する流動層方式を用いており、反応の高速化とエネルギーの高効率化が期待される。太陽日射の良い宮崎県で大型性能試験を行うことを目的に、宮崎県、宮崎大学、新潟大学が共同出資し、宮崎大学敷地内に日本で初めてとなる100kW大型太陽集光システムを建設した。また、新潟大学内にも19灯の大型ランプによる世界最大級の太陽集光シミュレータを整備し、反応器の性能試験を並行して行っている。  また、この技術を基軸として、天然ガス、石炭、バイオマス等の炭素系燃料と太陽集熱エネルギーをハイブリット利用して、水素と一酸化炭素の混合ガス(合成ガスと呼ばれる)を製造するソーラー反応器開発を行っている。製造された合成ガスはメタノール、ディ―ゼル燃料、ガソリン等の液体燃料が容易に合成される。その25~33%がソーラー由来のエネルギー分であり、化石燃料とのハイブリット型のソーラー燃料である。  この技術が実用化すれば、大量のCO2フリー水素を、太陽日射の豊富な世界のサンベルト地域(豪州、中東、北アフリカ等)で大量生産し、日本へタンカー輸送することが可能となる。国内では関連企業29社による太陽集光熱技術研究会の会長を務め、この分野の技術開発を牽引する共に、豪州再生可能エネルギー庁(ARENA)のソーラー燃料ロードマッププロジェクトへの参画や、韓国国研KIERとの共同研究等を実施し、海外の研究拠点とも連携して開発を進めている。


↑(写真1) 新潟大学の世界最大級の太陽集光シミュレータ

↑(写真2) 100kW太陽集光システム